2024.09.12

空調の更新(新設)を考えている方へ
─GHPという選択肢─

はじめに

工場や事務所における空調管理は、従業員皆様の健康を守るため、その重要性が年々高まっています。皆様はLPガスを燃料とするエアコンをご存じでしょうか。

工場のような大規模空間の空調には、一般的にGHP(ガスヒートポンプエアコン)やEHP(電気ヒートポンプエアコン)が使用されていますが、ガスの使用量が多い事業所では、電気式空調からガスエアコンへ更新することで大きなメリットが得られる場合があります。

また、現在空調設備の新設や更新をご検討中の皆様に、今知っておきたい重要な制度変更もございます。本記事では、ガスエアコンの特長や導入メリットに加え、災害時にも役立つ「自立運転・発電機能付きモデル」についてもご紹介します。

ガスヒートポンプエアコン(GHP)とは?

ガスヒートポンプエアコン(GHP)は、ガスを使って冷暖房を行う空調システムです。冷暖房の為の冷媒サイクルを回すコンプレッサーの動力源にガスエンジンを使用します。

暖房運転のイメージ。ピークカットの開設

GHPと電気ヒートポンプエアコン(EHP)比較一覧

比較項目 GHP(ガス式) EHP(電気式)
電気の基本料金 劇的に下がる エアコン使用で電気の基本料金が高くなる
BCP対策 停電時でも動く 停電時は完全ストップ(発電機がない場合)
冬場の暖房性能 圧倒的に強い 霜降り運転時に暖房が一時ストップの可能性
○ 電力使用量の削減

GHPはガスエンジンを使用するので、電力需要を大きく抑制することができます。その結果ピーク電力を抑えることができ、電気料金の削減に繋がります。

○ BCP対策「自立型GHP」

自立型GHPは、停電時や災害時にもガスエンジンで発電しながら空調を継続できる、ガスヒートポンプ空調システムです。 さらに、発電した電力の一部を照明やスマートフォンの充電など、必要最低限の負荷に供給することも可能です。

災害時に空調が止まらないことで、工場や事務所を一時的な避難スペースとして活用しやすくなります。 また、発電した電気を取り出せるため、スマートフォンの充電などにも役立ちます。 操作もスイッチひとつで簡単に行えるため、非常時でも複雑な操作は不要です。

自立型GHPなら、送電がストップしてもガスで空調が動き続けます。 大切な従業員の命を守りながら、災害時でも最低限の事業継続、いわゆるBCP対策を可能にします。

○ BCP対策「自立型GHP」ラインナップ

自立型GHPには、停電時の空調継続や一部電源供給に対応したラインナップがあります。 BCP対策として、工場・事務所・避難スペースなどの空調を止めたくない事業者様におすすめです。

○ 冬場の暖房性能について

GHPは、ガスエンジンの排熱を暖房に有効活用できるため、冬場の立ち上がりが早いのが特長です。 寒い朝や外気温が低い日でも、スピーディーに暖房を効かせることができます。

また、EHPで起こりやすい「霜取り運転」によって暖房が一時的に止まる心配が少なく、安定して暖かい風を送り続けることができます。 冬場の暖房性能を重視する工場や事務所にも、GHPは適した空調方式です。


電気料金の削減だけでなく、災害時の備えや冬場の快適性まで考えるなら、GHPは非常に有効な選択肢です。 空調の更新や電気代の見直しを検討されている事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。

GHP導入によるエネルギーコスト削減の効果

電気料金 ピーク電力を抑えて「基本料金」を削減

まず電気料金の計算方法について少し触れますが、「基本料金」と「電力量料金」の合計額に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」を加えたものが電気料金です。

電気料金の計算方法

「基本料金」は、「基本料金単価」と「契約電力」と「力率割引・割増」をかけて算出します。「基本料金単価」は契約時の単価ですが、「契約電力」は実量制で、メーターで測定した過去1年間(そのひと月と前11カ月)の最大の電力使用量によって決定します。 そのため直近1年間で電気の使用量が一番多かったピークのタイミングの電力使用量によって、「契約電力」が決まります。

このピークの電力使用量を抑えることで、大幅に電気料金の削減に繋がるのです。これをデマンドカットといいます。 EHPとGHPの消費電力量(冷房時、20馬力相当)を比べると約1/10になります。

消費電力量への効果、

GHPを導入することで、特に夏の暑い時期の電力使用量を削減することができ、その結果「契約電力」を抑えることができます。

そして、キュービクル(受電設備)の容量の低減に繋がるケースもあります。
※キュービクルとは、電力会社との電気供給契約が50kW以上の需要家が、電気を受電する際に必要となる設備です。

さらにコストを削減する方法

ガス価格が安い事業者であればメリット大

ボイラーや高温炉などガスの消費量の多い設備を工場内で使用している様な、比較的ガス価格の安い工場では、GHPを導入することで大幅なコスト削減の効果が期待できます。

発電機機能で電気代を節約

発電機の機能がついているGHPであれば、事務所などの電力を自家発電でまかなうことができ、節約できる可能性もあります。そして、災害対策としても利用できます。

新冷媒への移行(法令改正)

冷媒とは、熱エネルギーを運ぶ役割を果たす物質のことです。 液体が気化するときに周囲の熱を奪う性質を利用し、空調機器では温度をコントロールしています。

エアコンの中では、室内機と室外機の間を「冷媒」と呼ばれるガスがぐるぐると循環して空気の熱を運んでいます。 冷房時には室内の熱を外へ逃がし、暖房時には外気の熱を室内へ運ぶことで、室内の温度を快適に保ちます。

これまで空調機器で使われる冷媒としてはR410Aが主流でしたが、環境負荷低減の観点から、国(経済産業省)の方針により低GWP冷媒への移行が進められています。 その代表的な冷媒が、新冷媒と呼ばれるR32です。

空調設備の耐用年数は約15年が目安とされており、今後は新設・更新のタイミングでR32対応機への切り替えを検討することが重要になります。 新設については2026年度中、更新については2028年度中をひとつの目安として、早めに更新計画を立てておくことをおすすめします。

○ R410AとR32冷媒の違い
比較項目 【今まで】
R410A
【これから】
R32
地球温暖化係数(GWP) 2090 675
(R410Aの約1/3)
燃焼性 不燃 微燃性
蒸発潜熱
(物質の状態変化における熱移動効率)
273 382
ガスの混合種類 混合ガス
(R32・R125)
単一冷媒
○ メリット

R32は、R410Aと比較して地球温暖化係数(GWP)が約3分の1に抑えられるため、環境負荷の低減に貢献できます。 また、熱を運ぶ効率にも優れているため、省エネ性能の向上も期待できます。

○ デメリット

R32は微燃性冷媒であるため、R410Aのような不燃冷媒と比べると、設置・施工・保守の際に燃焼リスクへの配慮が必要です。 ただし、適切な基準に沿って設計・施工・管理を行うことで、安全性に配慮した運用が可能です。

○ 新冷媒R32対応 GHPラインアップ

GHPでも新冷媒R32に対応した機種のラインアップが進んでいます。 低GWP冷媒への移行に対応しながら、GHPならではの節電性や省エネ性を活かせるため、これから空調設備の新設・更新を検討する事業者様に適した選択肢です。

ヤンマー「Mシリーズ」
パナソニック ガスヒートポンプエアコンA1形「GHP XAIR(エグゼア)IV」

GHP導入でメリットが出やすい工場(企業)

○ ガスをたくさん使っていて、空調も多く使う工場

ボイラーや高温炉、アルミ溶解炉を使用している工場や、食品工場など温度管理が重要な工場はガスの使用量が多いです。そのためガス価格が安く設定されていることが多く、EHPよりも結果的にランニングコストが抑えられる可能性が高いです。

○ 電気代が高い非生産施設

スーパーやホームセンター、オフィスビルや病院、ホテルや学校などの施設は業務用電力という括りになり、「基本料金」と「電力量料金」の設定単価が工場などの産業用電力と比べて高く設定されています。そのためGHPの導入メリットが高いです。

○ 夏に電気の使用量が急増する事業者

季節による電力使用量の変動が大きく、ピーク時の電気代が高い企業は特に有効です。

GHP導入の注意点

導入前に留意しておくべき点

  • EHPに比べ機器の価格が高額となり、ガス配管接続工事も必要となるため導入時のコスト確認が重要です。
  • ガス消費量が少ない場合、ガス単価が高くガス代が高くなってしまい EHPに比べコストメリットが出せない場合があります。現状のガス単価について 既存業者への確認することをオススメします。(固定型or変動型)
  • GHPは定期的なメンテナンスが必要です。エレメント・オイルフィルター・エンジンオイル・点火プラグ・駆動ベルトなど消耗部品が多いため、メンテナンスを実施しない場合、上記部品の劣化による不具合発生のリスクが高まってしまいます。

導入時のポイント

イニシャル・ランニングコストでEHP/GHPを比較

イニシャルはEHPの方が安い傾向にあります。ランニングは工場内にガス使用の多い設備があればガス単価が安く設定されているので、その様な工場は大幅に抑えられます。

エネルギー使用状況を把握する

年間の電気・ガスの使用量、各料金を把握し 導入による効果をシュミレーションすることが大切です。

適切な機器選びと設置計画

事業規模や施設の特性に合った機器を選定し、効果的な設置方法をすることで、より省エネ効果が期待できます。

 

導入事例

 

まとめ&ガロプロからアドバイス

近年の気温上昇による猛暑が続き、エネルギーコストの高騰は企業・工場にとって大きな問題となっています。GHPの導入は、電気代の基本料金を大幅に削減し、事業の安定運営を支える有効な手段となります。しかし、効果を最大化するためには、使用エネルギーの分析や設置場所・機器の選定が必要となり、専門家のサポートが不可欠です。

私たちは、工場設備とガスの専門家として、多くの企業の省エネ・コスト削減を支援してきました。エネルギー使用状況の分析し、最適なGHP導入プランのご提案をいたします。

無料相談や現地調査も可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

穂積 徳
穂積 徳

西濃エリア(各務原~長浜)を担当しています。 前職の総合建設コンサルタントでの省エネ対策や建屋修繕などの実績があり 現場で困っている人たちに協力したいという想いから転職。 「お客様のお役に立つ」を念頭に置き定期訪問や様々な課題改善に励んでいます。 お客様の悩みや不安に寄り添って解決できる営業マンを目指し日々奮闘中。

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