「温度が上がらない」「点火しない」等のトラブルの原因と解決策

塗装乾燥炉(バッチ炉)を長年使っていると、こんなお悩みはありませんか?
- 温度が上がらない
- 何度やっても点火しない
- 一度点火しても途中で失火してしまう
生産技術部門や設備担当者を抱える工場であれば、整備や改造まで対応できることもありますが、中規模・小規模の工場では「誰に相談したらいいのか分からない」「メーカーや業者が廃業して対応できない」といった問題で適切な修理やメンテナンスができずにお困りのケースが増えています。
今回は、そうした塗装乾燥炉(特に200℃程度の低温バッチ炉)で起こるトラブルの主な原因と、その解決のためのアプローチを解説します。
塗装乾燥炉は「壊れにくい」が故の「落とし穴」
まず前提として、塗装乾燥用のバッチ炉は200℃程度の低温で運用されるため、炉体自体は非常に長寿命といえます。
「導入してから20年使っている」という工場も珍しくありません。炉体は壊れにくいため、買い替え・更新ではなく「補修しながら長く使う」工場が多いようです。
しかしその一方で塗装乾燥業ならではの問題で、燃焼系・点火系といったバーナー周辺は塗装ブースが近くにあることで、ブロワーから塗料カスが混入して燃焼部に付着して不調が起こりやすく、メンテナンスを怠ると製品の品質や生産性に大きく影響します。
塗装乾燥炉トラブル「3大原因」
塗装乾燥炉で特に多いトラブル原因は以下の3つです。
① 燃焼系(バーナー)のトラブル
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- パイロットバーナーの汚れによる着火不良
- メインバーナーの燃焼効率低下
- 制御装置の劣化や誤検知
塗料乾燥の現場特有の問題として、塗料カスがバーナー周辺に侵入し汚れがたまりやすくなります。
パイロットバーナーは繊細な部品構成で、分解清掃を怠ると点火不良、失火を引き起こします。 -
② 熱漏れやシール不良
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- 失火や燃焼効率低下を防止
- 炉体劣化による熱漏れ
- 定期清掃で稼働安定化
燃焼ブロワーやファンなど吸排気設備は、汚れがたまると失火や燃焼効率の低下を引き起こします。特に塗装・乾燥工程では塗料カスやミストが飛散しやすく、ダクトやファン内部に固着するリスクが高いのが課題です。多くの工場で、前処理設備による湿気が工場内に溜まりやすいのが塗装工場の特徴ともいえます。
この湿気が炉体・ダクトの腐食につながりやすいため周辺環境には注意が必要です。薬品によっては酸性、アルカリ性などのもので腐食しやすい環境になりがちです。 -
③ 点火系統・電気系統の不良
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- 点火装置(トランス、プラグ)の不具合
- 安全装置(圧力スイッチ・バーナーコントローラー)の誤動作
- 炎監視装置(UVセンサー、フレームロッド)の障害
経年劣化や接触不良、湿気などが原因で、信号が正しく伝わらず着火不良や失火が起こります。
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丁寧なメンテナンスで長く元気に活用!
プロに頼る選択肢も
塗装乾燥炉はバーナーや制御機器を適切にメンテすれば、炉体を買い替えることなく何十年も長期間使い続けられます。
- ブロワー・ファンの清掃
- パイロットバーナーの分解点検・清掃
- 電気系統の導通チェック
- 制御装置の交換や改造
また最近増加している「メーカーが廃業した」「補修パーツがない」といった設備の保全に関するお困りごとも、部品の調査・調達の支援や、代替部品での修理、独自ノウハウ・技術の活用で対応できる場合があります。
塗装乾燥炉メンテナンスでよくある事例
実際にあったメンテナンス対応の事例を紹介します。
塗装乾燥用バッチ炉 事例①
運転中の失火トラブル
ビフォー
塗装乾燥用バッチ炉で、バーナーが途中で失火し生産がストップする問題が頻発。
点火プロセスを監視する安全装置(バーナーコントローラー)が経年劣化し、炎を正しく検知できずに誤作動。
この装置は火がついていない状態でガスだけが流れるのを防ぐために段階的にチェックする重要機能を持つため、誤検知は大きな安全リスクにも。
アフター
ニイミ産業の技術者が現地で監視装置の動作を詳細確認し、劣化による誤検知を特定。
既設品が生産終了機種であったことから、後継機種を選定。新品のバーナーコントローラーへ交換を実施。
安全性を確保しつつ、安定した連続燃焼を回復。不要な生産停止と今後の制御部品確保の懸念も同時に解消。

塗装乾燥用バッチ炉 事例②
原因不明の不着火
ビフォー
塗装乾燥用バッチ炉でバーナーが着火せず、原因が全く特定できない状況。
制御盤の図面も古く不十分で、安全装置がどの経路で不具合を起こしているか分からず、工場も対処不能。
アフター
ニイミ産業の技術者が制御盤内の端子台10箇所以上の端子を一つずつ外して安全装置を段階的に無効化しながら原因を切り分け。
1日かけて不具合を引き起こしていた部品を特定し交換。
その日のうちに着火を復旧し、操業を再開。

メンテナンスで重要なのは「原因の丁寧な切り分けと定期的な点検」
塗装乾燥炉のトラブル対応で最も重要なのは、「原因をいかに正確に切り分けるか」です。
故障のように見える症状も、その背後にある要因はさまざま。 例えば「火がつかない」という一言だけでも、実際には以下のようなケースが考えられます。
- ガスそのものが供給されていない(配管・バルブの問題)
- ガスは来ているが着火の火花が飛んでいない(点火装置の不良)
- バーナー制御が安全装置の誤検知で止まっている
こうした要因を現場で一つずつ確認し、「正常か、不正常か」を丹念に仕分ける作業が欠かせません。 部品を丸ごと交換すれば一時的に動く場合もありますが、根本原因を取り除かなければ再発リスクは残ります。
また、定期的にメンテナンスを行うことにより、安定稼働を担保するとともに、ボルトナットや固定金具など脱着を行っていれば、錆びによる固着で取り外しが難航するケースが少なくなります。結果、早期復旧に繋がりやすくもあるのです。
ニイミ産業のメンテナンスでは、経験豊富なスタッフが現地で動作を見極め、地道な調査を通じて本質的な解決を目指すことを大切にしています。
「炉を新規製造できる会社」だからこそできる対応
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私たちニイミ産業は、工業炉の製造を1000基以上行ってきた日興高熱工業株式会社をグループ会社に持っています。
- 炉本体の新規製造
- オーダーメイド改造
単なる修理だけでなく、製造側の設計ノウハウ・製造技術を活かした「その現場に最適な幅広い提案」ができるのが強みです。
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まとめ:塗装乾燥炉メンテナンスは「相談先選び」が重要
事例集・お役立ち情報・相談窓口
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資料ダウンロード
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社内でご検討用にメンテナンスの流れや実績などをまとめた資料をPDFでご用意しています。無料でご覧にいただけますのでダウンロードしてご活用ください。
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お問い合わせ・ご相談・現場調査のご依頼
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お電話でのお問い合わせもお気軽にどうぞ。専門知識をもった担当スタッフが丁寧にお応えいたします。ご希望の場合はご訪問でのご説明も可能です。
- お電話:0568-81-8461
対応エリア
東海三県(愛知県・岐阜県・三重県)を中心に滋賀県東部、静岡県西部など近隣エリアをカバー。各地域に拠点を構え、途切れることのないガス供給網を構築しています。

塗装乾燥炉の多くは、まだまだ使える丈夫な設備です。 ただし、バーナーや制御装置のメンテナンスを怠ると、
といった大きなコストをとなります。
ニイミ産業は、豊富な実績に基づいたメンテナンスと、炉製造ノウハウを融合し、現場目線で最適な解決策を提案します。
「どこに頼んだらいいかわからない」「メーカーが対応してくれない」 そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
津田 佑介
中濃エリア(各務原~美濃市)から東濃エリア(多治見、土岐)、瀬戸尾張旭エリアを担当。 営業経験、作業経験が一切ない状態から、研修を積み今に至る。 入社当初から窯業先を多く担当しバーナーの原理を学ぶ。その後、工業用の乾燥炉を持つお客様を担当し、アナログなバーナーから機械式のバーナーまでアプローチする営業マンに。 幅広い商材を持つニイミ産業だからこそできるご提案で、お客様のお役に立てるよう日々活動中。