バーナーが「不完全燃焼」する原因と対策。
工業炉バーナーメンテのプロが解説─

工業炉におけるバーナーの不完全燃焼は、炉の性能低下・安全リスク・エネルギーコストの増加など、多くの問題を引き起こします。特にLPガスなどの燃料を使用する中小工場にとっては、見逃せない課題です。

この記事では、バーナー整備のプロである私たちが、不完全燃焼の基本的なメカニズムから、人体への影響、そして具体的な原因とその対策まで、現場の目線でわかりやすく解説します。

不完全燃焼とは? 基本中のキホン

不完全燃焼とは、酸素が不足した状態で燃焼が起きることを指します。完全に燃え切らないため、燃焼ガス中に次のような有害物質が含まれます。

  • 一酸化炭素(CO)

  • ホルムアルデヒドなどの刺激性成分

  • 遊離炭素(フリーカーボン)

特に一酸化炭素(CO)は、無色・無臭で毒性が非常に強いため、知らないうちに体内に取り込まれ、中毒や最悪の場合、死に至る可能性もあります。

※フリーカーボンとは、日本語では遊離炭素(ゆうりたんそ)と言い、物質が燃焼などの化学反応を起こしたときに余った炭素原子が単体で存在している状態のこと。

CO濃度と健康被害の目安
CO濃度 症状
200 ppm(0.02%) 2~3時間で軽い頭痛
800 ppm(0.08%) 45分で頭痛・吐き気、2時間で失神
1.28%(12800 ppm) 1~3分で死亡の危険
  • 不完全燃焼時の見た目とサイン

    炎の様子でも不完全燃焼は見抜けます。以下の特徴が見られる場合は要注意です。

    状態 炎の色 炎の形状
    正常な燃焼
    (完全燃焼)
    青色 シャープ、
    鉛筆の先のような形状
    不完全燃焼 橙色(オレンジ) ゆらゆら揺れる、
    ロウソクのような炎
  • 工業炉バーナーの燃焼比較

なぜ不完全燃焼が起きるのか?

不完全燃焼の原因はさまざまですが、工業炉における設備の老朽化や、バーナーの設定不良、吸気不足などの要因が複雑に絡み合っています。

後半では、実際の工場現場でよく見られる工業炉での不完全燃焼の原因と、すぐにできる対策を詳しく紹介します。この記事を読むことで、安全で安定した炉の運用のヒントがきっと得られるはずです。

不完全燃焼になる具体的な「原因」

①ベンチュリーバーナ(自然給気)の場合

原因

給気口が閉まっている

対処

エア調整弁を開ける

原因

給気口がチリ・ホコリなどで詰まっている

対処

詰まり等を取り除く

原因

バーナーヘッドのガス噴出口や補炎口に異物が入っている
(割れたレンガなどの耐火物や、製品が入る場合があります。)

対処

異物を取り除く

②強制バーナ(強制給気)の場合(乾燥炉、アルミ溶解炉など)

原因

エア調整弁の固定金具が振動で閉まる方に動いてしまっている場合

対処

エア調整弁が適正な開度か確認

原因

燃焼ブロアの吸気不良 (フィルタが有る場合)

対処

フィルタの汚れ等を除去

原因

燃焼ブロアの吸気不良 (吸気フィルタが無い場合)

対処

給気口の汚れ等を除去

③その他事例

1. 燃焼ブロアのフィルタ取付方法を間違えたことが原因の事例
強制バーナ(強制給気)

フィルタを設置する順番はブロアの内側にアミ→フィルタだが、間違えてフィルタ→アミの順番で取り付けたことで、フィルタがブロア内に吸い込まれて詰まり、燃焼に必要な空気が供給されず不完全燃焼になってしまった。

2. 熱風循環ブロアの能力が高いことが原因の事例
強制バーナ(強制給気)

バーナの下流側に循環ブロアが設置されており、循環ブロアの引っ張る力が強いことでバーナの炎がリフトしてしまい、完全燃焼できないガス(未燃ガス)が発生し不完全燃焼となった。

3. 燃焼ファンモータが逆回転になっていたことが原因の事例
強制バーナ(強制給気)

モータが逆回転になっていたことで、給気がほぼ無い状態であったが、循環ブロアによってダクト内は空気が流れている為バーナは燃焼するものの、炎の色は真っ黄色になり不完全燃焼に。さらにバーナの燃焼筒には炭のようなススが形成されていた。

4. 煙突や煙道に穴が開いていることが原因の事例
ベンチュリーバーナ(自然給気)

金属製の煙突が経年劣化で穴が開いたり、台風などの突風による飛散物などで煙突に穴が開くことで、エアダンパーとなり排気量が少なくなることでバーナが給気不足となり不完全燃焼になってしまう。

5. 煙道に異物(耐火物)が詰まっていたことが原因の事例
ベンチュリーバーナ(自然給気)

長年使用していると、炉内の耐火物が劣化してボロボロに崩れることがある。それが煙道に堆積することで、排気ができなくなりバーナの給気不足が起こり不完全燃焼になることもある。

不完全燃焼を放置するとどうなるのか?

不完全燃焼を放置すると、バーナーや工業炉のパフォーマンスが落ちるだけでなく、重大な安全面でのリスクや、コスト増加につながります。

不完全燃焼による主なリスク
  • 一酸化炭素中毒のリスク
    無色・無臭のCOは気づかないうちに蓄積し、中毒を引き起こす可能性があります。
  • 熱効率の低下による燃料コスト増加
    酸素不足で燃焼が不完全になると、必要な温度に達するまで余計な燃料が必要となります。
  • 炉内へのスス堆積による設備トラブル
    燃焼ガスに含まれるフリーカーボンが堆積し、火災や炉の寿命短縮の原因になります。
  • 不良品や廃棄品の増加
    正常ではバーナーの熱で生産すると、製品の品質低下に加えて不良品や廃棄が増え、生産効率が悪化につながります。

このようなトラブルが発生する可能性があるため、早めの点検・対応が不可欠です。

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当社のバーナーメンテナンスおよび工業炉メンテナンスサービは、リプレース(設備更新)に頼らず、 いまお使いの工業炉で安定稼働・省エネを目指すサービスです。

前より火の付きが悪い」「温度の立ち上がりが遅い」――
そんな小さな変化も、不完全燃焼のサインかもしれません。放置すれば、燃料コストの増加や一酸化炭素中毒の危険、さらには設備の重大トラブルにつながるリスクがあります。

当社のバーナーメンテナンスでは、ガスと炉を知り尽くしたプロが燃焼プロセス全体を診断し、 「その不調の本当の原因は何か?」を見極めたうえで、燃焼効率の改善や酸素比の適正化など、 工業炉設備本来の性能を引き出す調整を行います。

東海地方を中心に200社以上の多種多様な工業炉のメンテナンスと行ってきました。 製造中止モデル、なくなったメーカー品、特注品にも対応してきた実績も多くあり、 トラブル発生後の修理だけでなく、予防保全・省エネ・設備寿命の延命といった観点でもトータルにサポートしています。

燃焼の見直しが、工場全体の安定稼働とコスト削減の第一歩になります。 工業炉・バーナーに関するお悩みは、まずはお気軽にご相談ください。

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