2026.07.16

【失火トラブル】
バーナーの火が途中で消える!
失火の原因と解説

「バーナーの火が途中で消える…」と、お悩みの方へ

例えば、

  • 「順調に稼働していたのに、急に警報が鳴ってバーナーが止まった」
  • 「再起動しても、しばらくするとまた消えてしまう」

工場のLPガスバーナーを用いた製造ラインで突然起こる「失火(しっか)」。 稼働中の停止は焦りを感じられることと思います。 本記事では、LPガスバーナーにおける失火の原因を、「パイロットバーナー(種火)」と「メインバーナー」の段階に分けて解説します。

工業炉担当者が絶対に押さえておきたい、 「バーナーの仕組み」

点火フロー

一般的なダクトバーナーの点火の流れは、以下のようになっています。

1. 起動前インターロックチェック

バーナーが点火動作に入る前に、すべての安全条件が満たされているかをバーナーコントローラが確認します。

燃料圧力の確認:燃料の供給圧力が正常範囲内(低すぎず、高すぎない)か。(圧力スイッチがある場合)
燃焼空気圧の確認::エアフロースイッチが正常か。(起動前はオフ、ファン起動後はオンになることの確認準備)
制御系電源・自己診断:コントローラ自体に異常がないか。
擬似火炎チェック:点火前なのに火炎検出器(UVセンサーやフレームロッド)が「火がある」と誤検出していないかを確認(もし検出したら即座に異常停止)。
2. プレパージ(前換気)

炉内や煙道に溜まっている可能性のある可燃性ガスを、燃焼用空気ファンを回して完全に追い出す工程。

循環ブロワ起動:循環ブロワを起動。
燃焼ブロワ起動:燃焼ブロワを起動。
風量・風圧確認:循環及び燃焼ファンのエアフロースイッチが正常にオンになったか監視。
タイマーカウント:炉内体積の数倍(一般的に4回〜5回以上)の空気が入れ替わるのに十分な時間、大風量で換気を続ける。
点火位置確認:ダンパのロー位置リミットスイッチや、コントロールモータの信号で、確実に点火位置に達したことを確認。
3. パイロットバーナー点火(点火動作)

まずは小さな「パイロットバーナー(種火)」に点火します。

点火トランス(イグニッション)作動:スパークプラグに高電圧をかけ、火花(スパーク)を発生させる。
パイロット電磁弁 開:パイロット用の電磁弁を開き、ガスを供給する。
パイロット試着火時間:通常3秒〜5秒以内。この短い時間だけ火花を飛ばしながらガスを流す。
火炎監視:火炎検出器が「パイロットバーナーの火炎」を正しく捉えているかを数秒間確認する。
判定:火炎が確認できれば次のステップへ。確認できなければ「不着火」となり、電磁弁を即座に閉じてロックアウト(停止)します。
4. メインバーナー点火

確実な種火がある状態で、定常燃焼へ移行します。

メイン電磁弁 開:メインのガス電磁弁を開く。
定常燃焼への移行:火炎が安定しているとコントローラが判断すると、点火シーケンスは完了し、「定常燃焼」となる。
5. 常時監視と安全遮断(インターロック)

定常燃焼中も、バーナーコントローラは以下の項目を常時監視しています。

立ち消え(フレームアウト):運転中に火が消えたら、即座(通常1〜4秒以内)にガス電磁弁を閉じる。
各種異常:ガス圧異常、エアー圧低下、失火異常などが発生した場合、即座にガスをカットし、ブロワによるポストパージを経てロックアウトします。

パイロットバーナー(種火)が消える「失火」の原因

着火して燃焼動作に入ったあと、種火の段階や、種火を維持している最中に消えてしまうケースです。主な原因は炎監視装置の検知不良、燃焼バランスと圧力の問題のいずれかが該当します。

炎監視装置(センサー)のトラブル

実際には火が点いているのに、センサーが「火が消えた」と誤認してガスを遮断するケースが多々あります。

フレームロッドの位置不良、汚れ
フレームロッドの位置不良、汚れ 〈塗装乾燥業より画像を引用〉点火系統・電気系統の不良

現場でよくある原因の一つです。炎検知棒(フレームロッド)が炎の適切な位置に当たっていないと、電流を検知できず失火扱いとなります。もしくは、実際には火がついているのに、電流を検知できず「火が消えた」と炎監視装置が勘違いしてガスを遮断してしまうケースです。

ウルトラビジョン(UVセンサー)の汚れ・劣化:
ウルトラビジョン(UVセンサー)の汚れ・劣化: 〈ガロプロ工業炉メンテより画像を引用〉(株)桂精機製作所 熱風発生装置 メンテナンス

検知部が一見キレイに見えても、うっすらとオイル等の油膜が付いているだけで検知NG(失火)になります。また、センサー自体の使用期限切れにより、感度が低下していることもあります。

燃焼環境・圧力のバランス

炉内圧力が高い
炉内圧力が高い 〈ガロプロ工業炉メンテより画像を引用〉中外炉工業㈱ スロートミクスバーナー メンテナンス

排気がスムーズにいかず炉内の圧力が規定より高すぎると、火が吹き消されてしまうことがあります。これは現場でよくある原因の一つです。

空燃比(空気とガスの比率)のバランスの悪化
空燃比(空気とガスの比率)のバランスの悪化 〈ガロプロ工業炉メンテより画像を引用〉(株)日本S.T.ジョンソン商会 エアヒートバーナー メンテナンス

ガスと空気の混合比率が悪く、燃焼バランスが崩れると失火します。

調整器、ガバナの不良
調整器、ガバナの不良 〈ガロプロ工業炉メンテより画像を引用〉(株)横井機械工作所 低圧ベロシティガスバーナー メンテナンス

内部機構の経年劣化で、燃焼に必要なガス圧力の供給が得られずに消えてしまうことがあります。

燃料供給ラインの詰まり

パイロットガスラインの詰まり
パイロットガスラインの詰まり 〈ガロプロ工業炉メンテより画像を引用〉(株)横井機械 パイロットガスバーナ メンテナンス

供給ラインにある調整バルブが詰まったり、ガスのドレン(不純物や水分)が詰まることで 、規定値以上のガスが出ず、比率が悪化して失火します。

電磁弁のゴミ噛み、動作不良
電磁弁のゴミ噛み、動作不良 〈ガロプロ工業炉メンテより画像を引用〉(株)加藤鉄工バーナー製作所 ダクトバーナー メンテナンス

パイロットバーナーに接続されているLPガス供給ラインの電磁弁にゴミが挟まり、正常に動作していない場合があります。

安全装置の故障、その他の原因

ガス圧力スイッチの故障
(失火トラブル)ガス圧力スイッチの故障

LPガス圧力が正常でも、スイッチ側の故障で異常信号が出ることがあります。

メインバーナーが消える「失火」の原因

パイロットバーナー(種火)からメインバーナーに移行し、本格的な燃焼運転中に消えてしまうケースです。上記パイロットバーナーの失火原因と共通して、その他の原因も考えられます。

負荷変動への追従不良

コントロールモーターの不調
コントロールモーターの不調 〈ガロプロ工業炉メンテより画像を引用〉設備修理 原因調査~部品交換

空気とガスのバランス(空燃比)を調整するモーターの追従が悪く、燃焼バランスが崩れて失火します。

設備の汚れ・経年劣化

ノズルの汚れ
ノズルの汚れ 〈ガロプロ工業炉メンテより画像を引用〉(株)桂精機製作所 熱風発生装置 メンテナンス

ノズルに煤(スス)などが付着し、噴出バランスが崩れることが原因になります。

ドレンの蓄積
ドレンの蓄積

ガスのドレンや不純物が配管内に蓄積すると、ガスの供給状態が不安定となり、燃焼不良や失火の原因となる場合があります。

温度調節計の不良

制御盤に附属の温度調節計が、経年劣化による基盤の故障などが原因で、温度追従や通常行わないような制御が起こることで、ガスと空気のバランスが崩れ失火するケースがあります。

その他環境要因・ヒューマンエラー

制御盤の漏電・接触不良
制御盤の漏電・接触不良

梅雨時などに、制御盤内のホコリが湿気を含み、漏電や誤作動を起こすことがあります。また、レアケースですが、制御盤のビスが振動で緩み、端子の接触不良(瞬断)が起きていることもあります。

バルブの操作ミス
バルブの操作ミス

人が稼働中に誤ってバルブを閉めてしまうケースもゼロではありません。

まとめ:原因の切り分けと見極めが大切、予防保全の点検をおすすめ

失火トラブルは、いつ何時起こってもおかしくないものですが、定期的なメンテナンスを行うことで未然に防げる場合が殆どです。 「いつもと音が違う」「頻繁にエラーが出る」といった予兆があれば、完全に停止する前の点検をおすすめします。

ニイミ産業では、こういったトラブルやお困りごとを解決してきた事例が多数あります。

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